現在、インプラントは「骨内インプラント」のことを示す。骨内インプラントとは、インプラント体(フィクスチャーともいう.骨内に埋入される部分のことである)が人工歯根として顎骨内で機能を果たし、上部構造体と共に補綴装置として機能するもののことである。以下に時系列でインプラントの歴史について示す。
19世紀初頭 | 金,ポーセレン,弾性ゴムなどインプラントとして利用 |
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1913 | Green-fieldの歯根型インプラント |
1939 | Strockのネジインプラント |
1960 | Linkowのブレードインプラント(板状インプラント) |
ブレードインプラントは、窓がたくさん開いた板状インプラントであり、骨組織と広い表面積で接することが出来るため、ある程度強固な一時固定が得られた(線維性結合組織を介して骨と結合)比較的長期間機能した。 この結果を踏まえ、他の形状のインプラント体に対しても中空加工などの表面積をかせぐ加工が施されるようになってきた。
1965 | イエデポリ大学(スウェーデン)Brhemarkらによるオッセオインテグレーテッドインプラントの開発が進んでいた(米国とは全く異なる概念)。当システムは、従来のブレードシステムを大きく上回る臨床成績を収める |
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1978 | インプラントの成功のコンセンサスを議論するNIHハーバード会議がボストンで開催(オッセオンテグレーテッドインプラントに関する議論は希薄) |
1986 | Albrektssonらによる新しいインプラント成功基準の提示 |
1988 | NIHコンセンサス会議開催 NIHハーバード会議の反省を含め、新しいインプラント成功基準ガイドラインに関するコンセンサスを模索 |
NIHコンセンサス会議によって示された見解は、オッセオインテグレーテッドインプラントの概念を大幅に取り入れ、「線維性組織のインプラント・骨組織界面がインプラントの長期成功率を低下させることは確かではないものの、最も長期の歯根型インプラントの生存率は骨接触界面をもつインプラントシステムによって達成されている」というものであった。
言い換えれば「骨組織とタイトに接着した動かないインプラントが、臨床的に成功である」といえよう。
この結果、プレードタイプは消え、骨組織と結合するスクリュータイプなどのデザインがほとんどを占めるようになった。
☆1998
新たなインプラント成功基準を示すトロント会議が開催された。本会議で決定された基準は現在の世界標準である。
参考
よくわかる口腔インプラント学、第1版、医歯薬出版㈱
歯科インプラント、先端医療技術研究所 他