フッ化物の歯質強化において、フッ化物の作用濃度・到達性・停滞性が非常に重要な要素となる。
●PMTCフッ化物使用のポイント
出来る限り高濃度のフッ化物を含有した研磨剤を使用し、プラークやバイオフィルムの除去のみにとらわれず、フレッシュな歯面に出来る限りフッ化物を停滞させることが重要である。
また、歯間部や咬合面への積極的なフッ化物含有歯磨剤の到達を目指すべきである。
●日常的なケアのポイント
フッ化物含有歯磨剤の使用は効果的である。
現在、市販されている歯磨剤の多くはフッ化物を含有しているが、その濃度は様々である。
リカルデント(CPP-ACP:新素材参照のこと)ペーストを歯質に塗布し、再石灰化を促進させる方法である。
詳細は、CPP-ACPを解説したコンテンツに譲るが、現在MIペーストとしてGC社より発売されている。
リカルデントを適切に使用することにより、脱灰エナメル質の再石灰化を促進するだけでなく、エナメル質の耐酸性を高めることも可能である。
本ペーストは歯磨剤としての使用よりも、エナメル質パックとして使用することが効果的である(ブラッシング後に歯に塗布し洗口しない、また、マウストレーを使用してリカルデントを歯質に局所的に停滞させて作用させることも効果的)。
近年、リカルデントは様々な形で提供され始めているので、MIペーストのみに頼るのではなく、リカルデントガム等の併用も容易であり、様々なデリバリ手法をミックスすることで効果的なウ蝕予防が可能であると考えられる。
ウ蝕は細菌由来の感染症である。
そのため、クロルヘキシジン等の抗菌成分を利用しウ蝕原性菌数を減らすことでウ蝕を予防する方法がある。
クロルヘキシジンは非常に優れたプラーク形成阻害作用を持ち、また、歯質有機質劣化(コラーゲン劣化)に関与するMMPsのインヒビターとしても知られている。
欧米においては日常生活で使用する際の長期安全性は実証済みだが、ジェネティックな要素によりモンゴロイドに対する安易な長期投与は危険である。
本邦において確率は低いもののアレルギー症例が報告されていることを念頭に置く必要がある。
また、クロルヘキシジンを日常的に使用した場合の歯質着色に対しても十分留意する必要がある。