シランカップリング剤は、無機物と有機物を接着させる上で必要なもの
無機物:コンポジットやセラミックのフィラー
有機物:レジンボンディング剤やレジンセメント
無機物と有機物は、表面処理なしには化学的に接着しない。その為、一見接着しているように見えても嵌合効力のみで引っかかっているだけであるため(機械的に接着しているだけ)その接着は容易に破壊され、修復物は脱落てしまう。
シランカップリング剤は、ケイ素を中心として無機官能基と有機官能基を持っており、無機物と有機物の接着に化学的接着を提供することができるが、接着させる無機物や有機物に対し、各々の官能基はその種類により様々な反応性を示す。
一言にシランカップリング剤といっても各社すべて同じ成分でできているわけではないので使用するシステムに応じて使い分ける必要があることは重要である。また、最近のRMGICやレジンセメントは、シランカップリング処理などの前処理が必要のないものも上市されているので確認されたい。
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前述の通り、シランカップリング剤は無機質(フィラー)と有機質(レジン)の仲立ちをするわけである。
(1)修復物の被着面が汚染されていたら・・・
←接着能は大幅に低下すると考えられる
対策:
サンドブラスター等できっちり清掃を行う。これにより内面の物理的な汚染が除去されると同時に、ミクロ的には微細な凹凸が形成され、接着面積の増大に繋がる。
以下に続く・・・
(2)シランカップリング剤を活性化させるために・・・
対策:
シランカップリング剤は、酸性環境で活性化され効果を発揮するため、修復物内面をリン酸で処理する。この処理は、活性を高めるだけでなく、修復物内面の化学的な清掃にもなる。
さらに、シランカップリング剤は熱により更に活性が向上し、接着強さが増すと報告されている。120~140度で3分ほど加熱することで対応できる。