消化吸収機能、細胞外液量、肝機能、腎機能などが年齢により違ってくるため・・・
→薬剤の吸収、分布、代謝、排泄が年齢により異なる。
<吸収>
幼弱な小児の消化管通過時間は短く、薬物の吸収部位との接触時間が短くなる。
→吸収速度の小さな薬物を投与した場合に吸収されにくいことがある。
また、胃内容排出時間が長く、かつ不安定であるため薬物の吸収速度が一定しない。
→吸収にバラツキが見られる。
<分布>
体重あたりの水分量、特に細胞外液が多い。体内の薬物の分布容積が大きくなり、一般に血中濃度のピークは低くなる傾向にある。
<代謝>
主に肝臓で代謝は行われるが、一般に新生児期の肝臓における薬物代謝酵素活性が低いため、薬物の代謝速度は遅くなる。
<排泄>
もっとも重要な役割を果たしている腎臓に関して糸球体機能、尿細管機能は新生児から乳幼児にかけては低下している。
→腎排泄型の薬剤の半減期は延長する。
<まとめ>
小児では体重あたりの投与量が同じでも、抗菌薬の体内動態は年齢によってかなり異なったパターンをとり、特に、細胞外液の比率が高く、肝臓・腎臓の機能が未熟な新生児期には、一般に血中濃度のピークは低く半減期も長くなる。
<投与量>
投与量は体重を用いて計算することを基本とする。
そして薬剤毎の吸収性などを考慮に入れて体重量あたりの投与量を掛け算する。
注意しなければならないのは、投与量が成人量を超えた時は成人量の投与にすることである。
<投与形態>
小児の飲みやすい形態を考える必要がある。
錠剤は飲み込むことができない子もいることを知っておく。
→細粒や顆粒を用いる。ただし口腔内に貯留していないかチェックが必要。
<消炎鎮痛薬>
基本的には安全性は確立していないので最小限の投与量にする。高熱時に用いると過度の体温下降が見られることがあり注意が必要。年齢・体重などを考慮し、屯用で用いる。
(具体例)
ポンタールシロップ6.5mg/kgまたは0.2ml/kgや小児用バファリンを7歳から11歳で3~6錠、ロキソニン細粒を10歳で40~60mg、ボルタレン坐薬を0.5~1mg/kgなど。
<抗菌薬>
(錠剤が飲める場合)
フロモックス(1日量9mg/kg)、トミロン(1日量18mg/kg)
(錠剤が飲めない場合)
・メイアクト(1日量9mg/kgで小児用細粒は10%細粒であることを注意する。)
・セフゾン(1日量18mg/kgで食後の服用では効果が弱くなるので注意する。)