口腔乾燥症は口腔内に見られる乾燥症状ですが、その発生(要介護高齢者や有病者において)には全身的な要因が関係しているため、歯科医療従事者単独の介入では解決が難しいと考えられます。しかし、一方で医歯薬介スタッフが連携して口腔乾燥症の管理に当たることができるならば、患者さん・ご利用者さんのQOLを維持できると感じます。
まずは数例口腔内写真を提示します。
左右とも、同じ方の口腔内を同じ時刻に撮影しました。左の画像は室内の光のみを光源として撮影、右の画像はLED白色ライトを光源として撮影しました。できれば、白熱電球で照らしたイメージもお見せしたいのですが、既にすべてのライトをLEDタイプに切り替えているため撮影できませんでした。他のコンテンツでも示しているとおりですが、白熱電球だと口腔粘膜の汚れがくっきりと表現されないという問題があります。これは白熱電球が発する波長の問題であり、光量の差ではありません。
乾燥状態にある粘膜は非常に傷つきやすい一例を紹介します。
重度パーキンソンのため寝たきり状態、栄養は胃瘻よりとられており、経口摂取はなく、口腔乾燥が非常に激しい方です。経鼻吸引の際、チューブ先端が咽頭粘膜を傷つけ、口蓋や咽頭部に血液の混じった痂皮が張り付いております。定期的に歯科が介入することが難しい現場で、口腔乾燥に対する管理が困難な状態でした。
このケースでは、乾燥して弾力が低下した咽頭粘膜からの出血と気管内分泌物や粘膜代謝物が混じり、乾燥し血痰のような状態で口蓋等に付着していますが、無理にこれらを除去しようとすると、さらにこの部分の粘膜も傷害し出血します。
前述の写真のケースでもそうですが、十分にふやかしてから拭い取るように除去(ガーゼやスポンジブラシを使用)する必要があります(歯科治療インフォメーション参考のこと)。
また、ふやけた汚物を誤嚥させない配慮が非常に重要となります。吸引設備が近くにある場合は、吸引チューブの先に排唾管(写真参照)を接続しながらケアを行うとか、ケア時に座位が取れない場合で麻痺がある場合は、健側を下にして側臥位をとる(麻痺側に汚れを溜めたくない←誤嚥の危険性があるため)などの配慮が必要です。
今まで多くの医療や看護、介護職の方々より「口蓋部に付着した汚れをガーゼで拭い取ると粘膜が剥がれて血まみれになるんですが・・・」という質問を頂きましたが、適切なケア商品でしっかりとふやかし(写真参照)て除去すれば傷をつけることなく除去できます。口腔乾燥状態に対して保湿ジェル等を使用する場合は、適切な粘膜ケアが達成できていることが条件です。
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