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高齢者・有病者 >> 義歯床例

歯科臨床インフォメーション 義歯難症例における一対応

概要


北海道大学大学院
歯学研究科
小城 賢一
本症例は、外来受診が困難な患者さまに対し、在宅で対応を行ったものである。
既往歴は脳梗塞および軽度の認知症である。
口腔内における問題は、舌運動が若干阻害(左側運動)されている程度である。

主訴は、現在の義歯が不適合となり、新しい義歯を作成してほしいとのことであった。
義歯の調整やリベースも一つの選択肢ではあったが、診査の結果、顎堤が高度に吸収していること、および、現義歯の汚染が比較的進んでいることを考慮し、義歯新製の方向で治療を開始した。
ただし、この患者さまにおいては、現在の義歯形状や咬合に関しては問題ないとのことである。
そこで性格等を含めた様々な観察の結果、現在の義歯にできるだけ即した形状及び咬合状態のものを目指すことを一つの目的とした。

外来も在宅も、基本的な治療順序は変わらないが、在宅の場合は、義歯に対するアダプテーションが低下しているケースが多いことや、ストレス耐性が非常に低いことを考慮し、治療を行う必要性がある。このようなケースでは、義歯をお預かりして技工サイドで複製するのが一般的だと考えるが、有病高齢者に対して義歯を預かるという行為は極力避けるべきであるとの発想より、以下の治療方法を選択した。

一般的な治療の流れ

①検証模型用の印象採得
②個人トレイによる精密印象採
③咬合採得
④試適
⑤完成

今回の治療の流れ

前処置:現義歯を使用し粘膜面の機能印象採得(テッシュコンデシショナーⅡ@松風使用
2週間程度使用していただき、口腔内の機能印象を採得した。
左側舌側フレンジが反対側と比較して厚くなっている様子が認められる(運動障害のため、下顎デンチャースペースが左右で異なっていることがわかる)。

①現義歯の印象採得(ラボシリコーン@松風使用
義歯表面に分離剤(ワセリン)を十分に塗布し、ラボシリコーンで覆い、義歯自体の印象採得を行った。
このときに歯科医師サイドとして注意するべきことは、全体に渡り、シリコンの厚みをある程度確保することである(4mm以上)。
義歯の取り出しは、義歯床縁を避け、鋭利なカッターナイフ等で一周切込みを入れて行う。

②現義歯の複製作製(トレーレジンⅡ@松風使用
ここから技工サイドの仕事である。現場で採得してきた義歯印象をフラスコに埋没して、トレーレジンを填入、圧接、バリ取を行い、重合させた。実際の機能印象を反映した咬合床が完成する。

③試適(通常の試適と同様)
通法に従い試適を行った。TEST FOODを食べていただき、問題ないのでこのまま完成まで行った。
本症例では旧義歯と新義歯は同じバイトなので、特にバイト採得は行わなかったが、旧義歯よりバイトを変更する場合は、旧義歯上である程度まで模索した上で、義歯の印象を採得するべきだろう(試適段階で摂食状態を確認したいため)。

④完成
現在まで、義歯難症例や印象採得困難症例に対して、数例ではあるが上記方法で対応している。私どもは旧義歯を複製した咬合床における試適の後、人工歯配列を行ったロウ義歯による試適は行っていないが、現在のところ治療成績は良好である。

まとめ
このケースは、一般外来においてはあまり参考にならない処置方法かもしれないが、高齢者や有病者に対する治療を行っている先生方にとっては非常に有効であると考える。技工サイドと臨床サイドの連携が大切である。


 

 



(咬合床と旧義歯の正面像比較)
 

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