フッ化ジアミンシリケートの象牙質知覚過敏症治療剤への応用

フッ化ジアミンシリケートの象牙質知覚過敏症治療剤への応用

研究キーワード

フッ化ジアミンシリケート,象牙質知覚過敏症,象牙細管

出典

菅 俊行ら:日歯保存誌50, 313−320, 2007

研究者所属

徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 発達予防医歯学部門健康長寿歯科学講座 歯科保存学分野

研究概要

フッ化ジアミン銀(サホライド)の齲蝕抑制効果については、既に殆どの先生方がご存知の通りであるが、塗布後に起こる銀の沈着による歯の黒変が問題となるため、その適応はかなり狭い。そこで、歯質変色を起こさないこと、及びシリカのアパタイト生成触媒作用を期待し、フッ化ジアミン銀の銀の変わりにシリカを用いたフッ化ジアミンシリケートの象牙質細管封鎖効果と持続性を人工腔内模式環境にて行った。
なお、過去の研究よりフッ化ジアミンシリケートの齲蝕進行抑制剤は既に報告されているので、本研究では、知覚過敏症治療剤として臨床応用が可能かどうかを検証することを目的としている。

 

方法
−フッ化ジアミンシリケートの調製−
ヘキサフルオロケイ酸アンモニウムを精製水に溶解し、0.476mol/Lとなるように調製した。

 

―象牙質試料の作製―
歯軸方向に垂直な厚さ1.5mmの象牙質プレートを作製した。プレートは、0.5mol/LのEDTAにより2分間処理され、象牙細管を開口させ、水洗、フッ化ジアミンシリケート溶液を綿球で3分間塗布した。

 

―人工唾液浸漬―
FDTA処理のみのコントロール群及びフッ化ジアミンシリケート処理群の試料を人工唾液(イオン濃度の均一化のため6時間ごとに溶液交換)に浸漬し、振動を加えながら37℃で7日間浸漬した。

 

−SEM観察と象牙細管内検出物の組成分析−
・フッ化ジアミンシリケート処理前象牙質プレート
・フッ化ジアミンシリケート処理後象牙質プレート
・フッ化ジアミンシリケート処理→人工唾液浸漬した象牙質プレート
のSEM観察を行った。
また、フッ化ジアミンシリケート処理により象牙質細管内に検出した結晶性物質の組成をEDXAにより分析した。

 

結果
・フッ化ジアミンシリケート処理は、開口象牙細管をシリカーリン酸カルシウム結晶(この結晶はフッ化アパタイトとフッ化カルシウムの混合物)により緊密に閉鎖した。
・フッ化ジアミンシリケート処置により象牙細管内に析出した結晶は、唾液中で安定であり、唾液からリン酸カルシウムの析出を誘導することが明らかとなった。

臨床との融合

簡単にいってしまえば、歯が黒変しないフッ化ジアミン銀によく似た薬剤とも捉えられるが、シリカはアパタイト生成の触媒作用を有していることからその奏功機序は異なる。
今後知覚過敏治療薬や齲蝕進行抑制剤として本成分含有のものが発売される可能性が高いので十分にその科学的根拠と作用機序を理解して頂きたい。

 

※以下の図表は原著より改変

 

 

 

 

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