歯科衛生士が行う専門的口腔ケアによる気道感染予防と要介護度の改善

歯科衛生士が行う専門的口腔ケアによる気道感染予防と要介護度の改善

研究キーワード

専門的口腔ケア、歯科衛生士、要介護高齢者、気導感染予防、要介護状態区分の改善

出典

足立 三枝子ら: 老年歯学 22, 83-88, 2007

研究者所属

東北大学大学院歯学研究科加齢歯科学分野

研究概要

要介護高齢者に対し、専門的口腔ケアを導入することにより熱発が予防されるなどの報告外ある。本論文はそれらの報告を補完する意味でも価値があるといえよう。

 

研究目的
要介護高齢者に対する歯科衛生士による専門的口腔ケアが、呼吸器感染症予防に効果があるか、また、要介護状態の改善につながるか、を検証している。

 

方法
在宅の要介護高齢者96名(平均年齢84.2歳、平均介護度2)に対し、無作為に
●週1回の専門的口腔ケアを実施する群(49名)
●本人によるケアを行う対照群(47名)
とに分け、半年間(10月〜3月)調査した。

調査内容は、
●介入前後での要介護状態区分とADL
●期間中の肺炎、インフルエンザ、感冒症候群の罹患有無

 

結果
●介入前後での要介護状態区分とADL(太字=有意差あり)
口腔ケア介入群:
軽度化(13人) 変化なし(26人) 重度化(10人)

対照群:
軽度化(3人) 変化なし(35人) 重度化(9人)

●期間中の肺炎、インフルエンザ、感冒症候群の罹患有無(太字=有意差あり)
口腔ケア介入群:
気道感染症(4人) 肺炎(0人) インフルエンザ(0人) 感冒(4人)

対照群:
気道感染症(12人) 肺炎(1人) インフルエンザ(4人) 感冒(7人)

臨床との融合

専門的口腔ケアの導入や日常的口腔ケアのレベル向上により上記のような結果が出ることは広く知られるところとなっていると感じるが、いかがだろうか?看護や介護サイドとしては、「理解はしているけど〜」や「そのつもりで歯科往診をお願いしても入れ歯を作ってばっかりで〜」という声が聞こえてくる気がする。歯科医師サイドも、ケアは衛生士の仕事と勝手に決め付けず、真剣に向き合う必要を日々感じる。

実際、私自身、要介護、有病者に対する歯科治療をメインに行っているが、定期的(月2回)ケア管理を行っている施設や在宅では、口腔内疾患だけでなく全身的な状態も比較的落ち着いているように感じる。ケアがキュアになり得ることもある。

ただ、勘違いしてはならないのは、「専門的口腔ケアを提供したから肺炎が予防できた!」訳では全くない。その方を介護している多くの人の努力の結果、予防できたと考えるべきである。口腔ケアの導入(たとえ研究目的であっても)を考えるような介護・看護スタッフは、他の介護・看護においても一般よりもレベルが高いと感じる。たとえ、対照群をおいた比較研究の結果が口腔ケアの有意性を示していたとしても、臨床現場において、あえて歯科サイドからその事実を看護・介護サイドに訴求するべきではないと感じるのは私だけだろうか。

 

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