概要
硬化時間がスピードアップ。
ペーストタイプで計量・練和が簡単です。
内容量
医療機器承認番号
ビトレマーTMペーストとは?
3M ESPEから発売になったビトレマーTMペーストは、セルフキュア型(化学重合型)であり、X線造影性、フッ素徐放性をもつレジン添加型グラスアイオノマーセメントです。
(エックス線造影性は、歯肉縁下の余剰セメントやマージンとの不適合を精査するのに役立つ)

適用症
・ メタル製のクラウンおよびブリッジの合着(メタルボンドポーセレンを含む)
・ メタルインレー・アンレーの合着
・ ジルコニアやアルミナで作製されたオールセラミック修復物の合着
・ 既製メタルポストおよび鋳造コアの合着
・ 矯正バンドの合着

合着セメントの具備するべき条件
合着セメントの一番の目的は、歯に対して補綴物を合着し、その接着性を維持していくことです。
クラウンの合着のためには、十分な支台歯の準備や(長軸方向に対して、約6度のテーパーを持たせます)、マージンへの適合、そしてセメントの能力に左右されない必要があります。
グラスアイオノマーセメントは、これら補綴物の合着用セメントとして優れた特性を示します。
ビトレマーTMルーティング セメントや、ビトレマーTMペーストは、グラスアイオノマーセメントの特性を持っているため、歯面に対して化学的に接着している(リンイオンやカルシウムイオンを介して)と考えられます。
特別な前処理の必要がなくても高い強度特性を持ち、フッ素徐放性を有しています。また、低溶解性です。
歯質接着性
グラスアイオノマーセメントの利点は、エッチング材やボンディング材なしで歯質に対して分子結合をするという性質(材料自体の酸性度及び歯質とのイオンレベルの結合)にあります。
しかしながら、コンディショナーのような、歯質に対して接着を促進するような製品の使用を勧めているものもあります。ビトレマーTMペーストでは、このような処理は必要ありません。接着力はコンポジットレジンよりも低くなっていますが、臨床結果では、ほとんどのメタル製の補綴物やジルコニアやアルミナで作製されたオールセラミック修復物に対して、適切な接着をしています。
ビトレマーセメントの硬化反応
(1) グラスアイオノマーの硬化反応
シラン処理ガラスと、ポリカルボン酸の酸・塩基反応
(2) レジン重合反応
ポリマーの側鎖部分とHEMAのメタクリレート基とのフリーラジカル重合反応がおこります。フリーラジカル重合反応は、光がなくても反応し、それゆえセルフキュアリング(化学重合)となります。
この付随的なレジン重合反応(メタクリレート反応)によって、フッ素徐放性があっても高強度が維持され、マージン部分の溶解を防ぐことができます。これらの化学反応により、このセメントはレジン添加型グラスアイオノマーセメントとなっています。
使用方法
セメントは、ベースペーストとキャタリストペーストから構成されていて、クリッカーTMディスペンサーの中に入っています。ペースト/ペーストの形状は、従来の粉/液の形状より、使いやすく、色調はホワイトシェードです。

ペーストの組成
ビトレマーTM ペーストは2種類のペーストになっており、クリッカーTMディスペンサーから体積比1:1で出てきます。
ビトレマーTM ペーストのペーストAはX線造影性のあるシラン処理ガラス、HEMA、精製水、メタクリレートの硬化反応に使われる還元剤などから構成されています。
ビトレマーTMペーストのペーストBは、非反応型ジルコニアシリカフィラー、メタクリレート基を有するポリカルボン酸、HEMA、Bis-GMA、水、硫酸塩等を含んでいます。

特性
適切な合着を得るために、セメントは接着力、強度、皮膜厚さ、操作時間、硬化時間、X線造影性などのさまざまな理工学的特性を持っています。
セメントの歴史と操作性による選択基準
セメントの歴史と操作性による選択基準
ドクターには、一般的なクラウンやブリッジの補綴物の合着に関して、様々な選択肢があります。
例を挙げれば、
・リン酸亜鉛セメント
・ポリカルボキシレートセメント
・従来型グラスアイオノマーセメント
・レジン添加型グラスアイオノマーセメント
・レジンセメント
があります。
現在北米市場において、クラウンやブリッジの補綴物セットの際、従来型グラスアイオノマーセメントやレジン添加型グラスアイオノマーセメントが最も頻繁に使われるようになってきています。
レジンセメントは、さらに強い保持力が必要とされる場合のみに使われています。しかしながら、それらは煩雑な操作が必要であり、操作方法によるバラつきが大きい製品でもあります。
ビトレマーTMルーティング セメントとは・・・
ビトレマーTMルーティング セメントは、1994年に市場に登場しました。
この製品は、粉/液タイプの製品であり、粉:液の比率を1:1とし、30秒かけてハンドミックスするタイプの製品です。
練和開始からのセメントの操作時間は2分30秒です。
練和されたセメントはムース状の粘ちょう度で簡単に補綴物に塗ることができ、補綴物の合着操作を簡単に行うことができるものです。
余剰セメントは口腔内で、3分半~4分半後に簡単に除去できます。このようにビトレマーTMルーティング セメントは、使い方が簡単で、しかも補綴物の合着に適した特性を得ることができ、知覚過敏も出にくい製品であるといわれています。
より確実な合着材を目指して・・・
しかしながら、粉/液タイプのハンドミックスタイプでは、使用方法がわずらわしいことや、粉/液を必ずしも一定の割合で混ぜることができないため、粘ちょう度に問題ができてしまうこともあり、万が一そういった場合には、セメントの硬化特性にバラつきが出てしまうこととなります。
さらに、粉は湿気に敏感で吸湿しやすい特性があり、これもまたセメントの硬化特性に影響を与えてしまっています。それゆえ、これらのバラつきを抑え、使用時の粘ちょう度を一定にできるような、ペースト/ペーストシステムを採用できるような更なる改良が強く望まれていました。
様々な種類のセメントとの比較


ペースト押出~練和
ビトレマーTM ペーストは、3M ESPEから発売になったペースト/ペーストタイプのレジン添加型グラスアイオノマーセメントであり、クリッカーTMディスペンサー に入っています。

ビトレマーTMペーストは、クリッカーTM ディスペンサーからペーストを出し、20秒間練和するだけで簡単に使用することができます。
練和開始からのセメントの操作時間は、2分30秒です。ペースト/ペーストから練和されたセメントは、粉/液タイプと同じようなムース状の粘ちょう度であり、簡単に補綴物に塗布することができ、補綴物を合着することができるよう設計されています。

セット~最終硬化
余剰セメントは、口腔内にセットしてから2分経過した後、きれいに除去することができます。
また、最終硬化時間は5分です。
ペースト/ペーストシステムは、粉/液タイプに比べてさらに簡単な使い方になっており、より安定した硬化特性を示します。

ビトレマーTMルーティング セメントとビトレマーTM ペーストの硬化反応は、とても似ています。これらのセメントには、2つの硬化反応が起こります。
使用目的、効能又は効果
歯科修復物又は装置の口腔内硬組織もしくは装置への合着に用いる。
適用
ビトレマーTMルーティング セメントとビトレマーTMペーストは次のような補綴物の合着にお使いいただけます。
適用症例
・メタル製のクラウンおよびブリッジの合着(メタルボンドポーセレンを含む)。
・メタルインレー、アンレーの合着。
・ジルコニアやアルミナで作製されたオールセラミック修復物の合着。
・既製メタルポストおよび鋳造コアの合着。
・矯正バンドの合着。
【使用上の注意事項】
ビトレマーTMペーストは、HEMA(2-ヒドロキシメチルメタクリレート)などのアクリル系レジンを含んでいます。
アクリルアレルギー症状のある方には、ご使用にならないで下さい。
アレルギー反応のリスクを減らすため、材料に直接触れることは極力避けてください。
特に、未硬化レジンに触れることは避けて下さい。防護手袋の使用や、適切な道具を使った非接触の使用をお勧めします。
もし皮膚に触れてしまった場合は、石鹸と水でよく洗ってください。アクリレートは、一般の手袋では浸透してしまうことがあります。もしセメントが手袋に触れた場合は、手袋をはずして捨ててください、そしてすぐに石鹸と水で手を洗い、再び手袋を装着してご使用下さい。万が一、目に入ってしまった場合には、大量の水で洗い流してください。もし、炎症が続く場合には、病院でご相談ください。
【貯蔵・保管方法及び使用期間等】
1.包装に記載している使用期限までに、ご使用になってください。
2.低温で保管した場合には、使用前に室温に戻してください。
3.ビトレマーTM ペーストは、21-24℃の室温を使用温度としています。
4.高温となる場所では保管しないでください。
5.ペーストを乾燥させないでください。
6.きちんとクリッカーTM ディスペンサーにキャップを閉めた状態で保管してください。
7.クリッカーTM ディスペンサーは、接触面からの感染を防ぐためにも、清潔にしてください。
【保証】
有効期間中の品質不良が明らかにされた場合には、同数量の新しい製品とお取替えいたします。
それ以外の責はご容赦いただきます。
【臨床上の注意事項】
・ ユージノールを含まない仮封材、仮着材を使用してください。
・ペースト採取後、ベースペーストとキャタリストペーストが混ざらないようにガーゼで取り出し口を拭いてから、キャップをカチッと戻してください。
・過酸化水素水(オキシドール)や次亜塩素酸ソーダ(歯科用アンチホルミン)などの酸化剤は硬化を妨げますので、使用しないでください。
歯質接着性
牛歯の象牙質やエナメル質との接着力を測定するために、アクリル樹脂中に牛歯を埋め込んだサンプルを準備し、それらを包埋後、研磨し、象牙質やエナメル質の表面をむき出しにします。
もう一方の接着面としては、サンドブラストされた金属製のテストボタンを使います。セメントは製造業者の指示に従って練和され、金属表面に塗布された後、金属ボタンを歯質表面に置き、適度な圧力を加えました。
これらのサンプルは恒温恒湿器(37℃/95%RH)に20分間放置され、その後蒸留水中に投入しました。
サンプルは37℃で24時間放置された後、インストロン社製テスト測定器を用いてせん断接着力を測定します。
以下に象牙質とエナメル質の両方に対するせん断接着力試験の結果を示しています。ビトレマーTMルーティング セメントと、ビトレマーTMペーストの接着力は同じような結果になっています。


コア材料との接着性
歯質に対する接着だけでなく、セメントはさまざまな種類のコア材料に対しても接着しなければなりません。
コア材料の一般的な種類としては、アマルガム、グラスアイオノマー、コンポジットレジンがあります。この試験では、先に述べた象牙質と似たような方法で、セメントの接着力試験を行いました。

補綴物との接着性
歯質やコア材料に加えて、セメントは以下に示すような様々な種類の補綴物に対しても接着することができます。
レジン添加型グラスアイオノマーセメントと、よく使われている補綴物の材料であるNi-Cr合金、アルミナ、ジルコニアとの接着力試験の結果を示しています。
この試験では先ほどと同じような方法で、サンドブラストされたNi-Cr合金、オールセラミックジルコニア(Lava TM システム)、オールセラムアルミナのそれぞれのボタンと、エナメル質にセメントを用いて接着しました。

力学的性質
メタル製の補綴物やジルコニアやアルミナで作製されたオールセラミック修復物は、コーピングから強度や安定性を得ており、強度をセメントには頼っていません。
しかしながら、強度の弱いセラミックは、コンポジットレジンのような強度や安定性を付与するようなセメントを使う必要があります。セメントの圧縮強さや曲げ強さは、ISO9917の試験法に準拠して測定しました。
さらに、セメントのダイアメトラル引張強さの試験も測定しました。



被膜厚さ
セメントの被膜厚さは、適合の良い補綴物となるために、とても重要な役割を果たしています。
被膜厚さは、練和されたセメントを二つのガラスプレートにはさみ、その厚さを測定することによって求められます。被膜厚さの薄いセメントは、タイトフィットとなり、補綴物を完全に接着することができます。この試験は、ISO9917に準拠して行われており、被膜厚さは25μm以下であることが必要とされています。この結果は、すべてのセメントの被膜厚さが25μm以下であることを示しています。

X線造影性
X線造影性は、次の二つのために重要となっています。
一つは、歯肉縁下の余剰セメントを発見できること、もう一つは、マージンとの不適合を発見できることです。このようにX線造影性は、X線を使用することによってドクターがセメントと歯質を区別することを可能にしています。このX線造影性の試験は、ISO9917に準拠して測定されました。この試験では、セメントのX線透過密度とアルミニウムの透過密度とを比較しています。1.0かそれ以上の値であれば、X線造影性があるといえます。この結果は、すべてのセメントで同じようなX線造影性があるということを示しています。

フッ素徐放性
グラスアイオノマーセメントの特徴の一つとして、フッ素徐放性があります。フッ素イオンの徐放と歯質への取り込みは、二次う蝕を防ぐということが一般的に知られています。
フッ素徐放性の測定は、バッファー溶液中でフッ素イオンを使用した特殊な電極を使用し、in vitroで行われました。下の図は、ビトレマーTMルーティング セメントと、ビトレマーTMペーストの両者とも、フッ素徐放性を維持していることを示しています。

Q1:ビトレマーTM ペーストはどのくらい使用できますか?
ビトレマーTM ペーストは、クラウンで2クリック分のセメント量を使用した場合、およそクラウン40回分に相当します。
つまり、1本のクリッカーTM ディスペンサーで、80クリック分使用することができます。
プランジャーの長さは、クリッカーTM ディスペンサーにセメントがどのくらい残っているかの目安になります。
Q2:セメントの使用期限はどのくらいですか?
ビトレマーTMペーストの使用期限は、包装に記載されている数字が使用期限となっています。
また、クリッカー TM ディスペンサーのキャップをカチッと音がするまで閉めていただくことも、ペーストからの水分の蒸発や乾燥を防ぐために、重要なことです。
Q3:ビトレマーTMペーストはセラミック製の補綴物の合着に使用できますか?
ジルコニアやアルミナで作製されたオールセラミック修復物の合着にのみ、使用できます。(Lava TMにも使用できます)