活性酸素ことはじめ
東京都中野区・日野浦歯科医院
日野浦光(歯科医師)

活性酸素とは・・・

活性酸素とは,酸素が化学的活性をもって強い酸化性を帯びたもの,およびその関連物質の総称です。狭義には酸素分子が水に還元される過程において生じる反応性の高い分子種,スーパーオキサイドアニオンラジカル(O2−),過酸化水素(H2O2),ヒドロキシラジカル(OH),および紫外線照射によって生成される一重項酸素(1O2)をさしますが,広義にはほかの各種物質も含みます。

体内で発生する活性酸素

ヒトが生命活動を営むためには,毎日の食事で約2,000kcalの食物を摂取することが必要とされています.この栄養素が消化・吸収され,細胞内小器官であるミトコンドリアで生物エネルギーATP(アデノシン3リン酸)が作られるのですが,このとき500Lという多量の酸素が消費されます。この酸素を私たちは呼吸により体内に取り入れていますが,体内に吸収された酸素のうちの数%は活性酸素に変化します。
活性酸素の功罪

生体内で作られた活性酸素は酸化力が大変強いため,細胞膜の構成要素である多価不飽和脂肪酸やヘモタンパク,およびDNAを破壊してしまいます3).それゆえ,感染症を除き,生活習慣病をはじめとする病気の90%が活性酸素による細胞の損傷が原因とされています。
なお,活性酸素の働きは悪いことばかりではなく,わずかなレベルの活性酸素は逆に細胞分裂を促進する側面もあります。また,細胞相互の情報伝達に大きな役割を果たしています。さらには,ウイルスや細菌から身を守るための免疫機能も,活性酸素レベルの上昇によって起こる構造になっています。このように,活性酸素は生体にうまく取り込まれて有益な道具となる側面もありますので、生体における活性酸素の有用性を無視して,ただ消去すればよいという考えでは矛盾が生じます。
生体独自の抗酸化システム

活性酸素はミトコンドリアの活動がさかんになるにつれて増加しますし,さまざまなストレスが細胞に加えられた際にも発生し,その酸化力により生体(具体的にはDNAレベルで)にさまざまな弊害をもたらします。そこで,生体は必要に応じて活性酸素の毒性を消すための「生体の抗酸化システム」を発展させました。つまり,活性酸素の毒性を消去するための抗酸化物質を作り出しました。この抗酸化物質をスカベンジャーとよんでいます。
スカベンジャーのなかで代表的なものに酵素の仲間であるスーパーオキシドジスムタ−ゼ(SOD),カタラーゼ,グルタチオンペルオキシダーゼがあります。また,生体はビタミンEやビタミンC,カロチンなど各種の抗酸化物質と連動することで活性酸素を消去し,バランスを保っています。スカベンジャーを医療に応用するうえで大切なことは,生体内での全体的な酸化・抗酸化のバランスを崩さないことにあります。

 

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