ご家族、施設の方、ケアマネージャー等の方々を含めて一人の患者であるという認識を持てば、わかりやすいと思います。つまり、一人の患者さんを診るということは、周りの方々、すなわち、日常的な介助者、とも十分にコミュニケーションをとる必要があるということです。
これが、訪問歯科診療において最も重要なファクターですので、「なぜ周囲の方々とのコミュニケーションが重要なのか」について、少し詳しくに説明します。
在宅診療においては、診療に入ることもできないケースが多々あります。
認知症の場合、私たちが何者であるかを理解することも難しい方もおられます。また、不幸にも若くして身体が不自由になられた場合は、心を閉ざされているケースもあります。
そのような場合、日常的に介助されている方の助けを得て、スムーズに関係構築が進むことが多々あります。
→患者さんには、自分が現在どういった困った点があるのかを認識できてない方もいらっしゃいます。このときも常に生活をともにしている方々からのいつもとこういう風に違ってきているだとか、どこか、痛そうな感じがするといったような情報を得ることによって主訴や問題点を把握し、診療を行うことができます。
私たちは先の通り、2週間に一度、居宅療養管理指導のために、訪問していますが、日常の口腔ケアは自分で行う方と介助により成されている方がおられます。私達が訪問した瞬間だけ綺麗でも全く意味がなく、最も重要なのは、口腔内衛生状態の恒常的な維持です。
そのためには、日常口腔ケアに対し、適切な方法で介助者に介入していただくことが重要です。
全介助に近い方であれば、ケア方法を直接介助者に伝え、ケア介入して頂く必要があります。また、ケア介助を必要とされていない方に対しても、介助者による「ちょっとした声がけ」(ここ磨けてる?といった感じの)が非常に有効となるケースが多いです。
そのためには、口腔ケアの重要性を介助者に伝え、認識していただく必要があり、また、患者さん毎の現状と、介助者に私達が求めることを正確に伝えることが重要になってきます。
ここでの最も重要なポイントは、完璧なケア状態の維持を求めるのではなく、口腔ケア介助が介助者にとって他業務の妨げにならないような工夫、すなわち実現可能なレベルでの内容を伝え、実践していただくことです。
同時に、介助者のモチベーションを維持することも重要です。これは、介助者のケア介入により、何らかの良い結果が出ている際には、できるだけそれを伝え、チームとして喜びを称えることが必要です。
私達は患者にとって、あくまで非日常的な存在です。そのため、日常における様々な問題点を把握することは難しく、療養上の適切な指導ができない場合があります。患者さんの言っていることに疑問を感じた場合は、複数の介助者に対しヒアリングを行うことで、問題点が明らかに、時としてたいした問題ではないと解ることがあります。
フェイスシートで、ある程度の基本的な患者さんの状態は知ることができますが、実際の生活内容や短期的な訴え(例えば、食事中義歯で遊ぶなど)は患者さんから聞き出すのが難しいので、介助者の声は非常に重要なヒントとなります。
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