人工歯の分類

材料による分類


人工歯は、様々な素材により作成されている。まず、以下に材料による各々の特徴を示す。

 

●レジン歯


【利点】
組成は、基本的には義歯床用アクリルレジンと同じであるため、義歯床との化学反応が期待できることや、熱膨張係数が義歯床と同じ程度であるため人工歯の脱落が少ない。

 

【欠点】

陶材や硬質レジン歯と比較して対磨耗性、吸水性の点で劣っている。このため架橋材を添加し、その向上を図っているが十分ではない。

 

●硬質レジン歯


【特徴】
・前歯は2層、臼歯は3層構造からなる。

・カラー部の素材は基本的にアクリルレジンであり、義歯床との接着を良好にするために架橋度を低くしている。

・デンティン部はベース部とエナメル部との結合を配慮した素材である。

・エナメル部はベース部とは素材が異なり、審美性と機械的性質の向上を図るためにウレタン系レジンと超微粒子フィラーからなっている。

 

【利点】
硬質レジン歯の特徴は、アクリルレジン歯と比較して圧縮強さ、曲げ強さ、磨耗量、硬さなどの機械的性質に優れている。

 

【欠点】
着色性飲食物(カレー、コーヒー、赤ワイン)の摂取による着色があげられる。これは、硬質レジン歯の材料に使用しているUDMA系が、それ自体が着色しやすいこと、複合材料であることなどが原因である。

 

●陶歯


義歯用の陶材として、高溶融または中溶融陶材を焼成した陶材が広く使用されている。

 

【義歯床レジンとの結合】
陶材とレジンは基本的には、結合力が弱いため、様々な工夫が必要である。

・前歯部の陶歯は、義歯床(通常のアクリルレジン)にしっかり結合するために、金メッキされたニッケル製ピンが陶歯の中に焼き固めてある。

・ピンを用いず、基底面表面にアンダーカットを設けて固定する。特に、臼歯の場合は下部中心に有孔アンダーカットを設けて固定される。

 

【利点】
・陶歯は歯質と同程度の機械的・物理的性質を有している。
・圧縮強さが強く、審美性、組織親和性、耐摩耗性も良好である。

 

【欠点】
引張り応力、せん断応力、衝撃力に対しては弱く、咀嚼時に接触音を発する。

 

●金属歯


金属単体、あるいはレジンとの組み合わせで咬合面のみ(もしくは機能咬頭のみ)金属の人工歯で、その材質により様々な性質を持つ。

 

【利点】
一般的には耐摩耗性、咀嚼力が良好

 

【欠点】
審美性に劣る

 

形態による分類


次に、人工歯の形態による分類を示す。なお、以下に示す形態は、特定の素材の人工歯により規定されるわけではない。

 

●解剖学的人工歯


基本的には天然歯の標準的な咬合面形態(咬頭、溝、窩など)を模倣して製作された人工歯で30°以上の咬頭傾斜がある人工歯である。

 

●準解剖学的人工歯


解剖学的形態を大きく変えない範囲の中で円滑な顎運動、咀嚼能率の向上、義歯の安定性など、機械的に効率的な形態に製作された人工歯である。

咬頭傾斜が30°以下のものをいい、義歯の安定を考えて20°にしたものが一般的である。

 

●非解剖学的人工歯


解剖学的形態になんらとらわれることもなく、もっぱら機能、咀嚼効率、義歯の安定のみを追求した人工歯で0°の咬頭傾斜のものが多い。

 

 

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【参考文献】

総義歯臨床の押さえどころ         医歯薬出版     小林 賢一
目でみる人工歯排列&歯肉形成     医歯薬出版     月刊 歯科技工別冊
コンプリートデンチャーの理論と臨床   クインテッセンス   早川 巌

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