窩壁象牙質面にリン酸処理や酸性モノマー(セルフエッチングプライマーに含有される)処理を施すことにより、スミヤー層やスミヤープラグ(象牙細管内に切削片が充填されたもの)除去(処置材により除去効果は様々)が起こる。これにより象牙質表層の脱灰と象牙細管の開口、象牙細管内壁(管周象牙質)も脱灰される。
(Jan De Munckらの図を改変)
リン酸エッチングを行った場合は、表層下約5μmの深さまで脱灰され、脱灰部位にはヒドロキシアパタイトは存在せず有機質であるコラーゲン繊維のみが存在するが、pH1.5以上のセルフエッチングプライマーで処理された場合は、コラーゲン線維間に若干のヒドロキシアパタイトが残留(下電顕写真の”樹脂含浸層”がそれにあたる)する。
一般的には、脱灰されたコラーゲン繊維層にプライマー(接着性レジンモノマーやHEMA、アセトン、エタノールなどを含有)が浸透し、接着性レジンモノマーの浸透が促進される。そしてボンディングレジンを塗布することにより、脱灰象牙質層にレジンが浸透・重合し、樹脂含浸層(hybrid layer)が形成され、レジン−象牙質接着界面が形成される。
樹脂含浸層は、レジン−象牙質接着において機械的保持という点で非常に重要な役割を担っていると考えれているが、樹脂含浸層という言葉の定義については議論が交わされている(詳細は樹脂含浸層コンテンツ参照)。また、スメヤープラグが除去されることにより、象牙細管内にレジンが浸透しレジンタグが形成されるが、深部象牙細管内でのレジンタグ重合率は低い可能性がある。
リン酸エッチングを行った際、エッチングされたコラーゲン繊維層すべてにレジンが確実に浸透し、重合させることは臨床的に困難であることがわかってきたが、プライマーやボンディングを複数回塗布することにより、レジンの浸透が促進されるとの報告もある。
前述のセルフエッチングプライマーを使用すると、脱灰されたコラーゲン繊維層中にヒドロキシアパタイトが残留している。接着性レジンモノマーはこれらのヒドロキシアパタイトと化学的に結合し、超微細な接着耐久性に寄与している可能性が示唆されている。なお、セルフエッチングプライマーによる脱灰象牙質の深さは、各々のセルフエッチングプライマーの酸性度により変化する。
セルフエッチングプライマーは、エッチングを行うと同時にプライミングを行うため、基本的に脱灰された象牙質層はきっちりとプライミングされていると考えてよい。近年は、表層脱灰量および樹脂含浸層厚さがナノメートルオーダーの”Nano interaction zone (NIZ)”システムも登場している。
参考
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