100年以上前に開発され、20世紀において最も使用されていた歯科用セメントである。本セメントは、硬化反応中に酸性成分を歯質に放出し、それが歯髄に対して刺激を与える可能性をもつ。それゆえ、本セメントを使用する際は、窩洞にバーニッシュやシーラーなどを引いてから用いるべきである(ただし歯質と化学的に結合できる他のセメントについては、特にそのような処置をすべきではないと考えられる)。
本セメントの物性ならびに操作性は粉液比に大きく左右され、術者の練和手技が非常に重要となる。練和は分割練和法が推奨される。
ちなみに、歯髄刺激性があり、また、歯質や金属に対する接着性はない。
そんな中、1968年にD.C. Smithがカルボキシレートセメントを開発した。本セメントは、リン酸亜鉛セメントが有していない歯質や金属に対する接着性があるとともに、歯髄刺激性も非常に低いという特徴がある。
リン酸亜鉛セメントとカルボキシレートセメントの成分上の大きな違いは、液に依存している。
双方とも粉は、
酸化亜鉛を主成分としながら、操作性向上のために補助成分が含まれている。
補助成分は、製造上の調整や硬化反応の調整、操作性の調整のために添加されている。
ただし・・・
強化型カルボキシレートセメントには、酸化亜鉛の代わりに約45%のアルミナや20〜40%のシリカを配合しているものもある。
一方、液は、
リン酸亜鉛セメントは正リン酸水溶液(30〜40%)であり、これに反応速度・pH 調整剤としてリン酸アルミニウムとリン酸亜鉛が用いられている。
カルボキシレートセメントはポリアクリル酸水溶液(30〜50%)、もしくはアクリル酸とイタコン酸などの共重合体を用いているものもある。カルボキシレートセメントの液は、非常に粘性が高いが、これは上記成分の分子量(20,000〜50,000)によるものである。
「リン酸亜鉛セメントとカルボキシレートセメントの練和について」へ→
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