Oral Studio的 標準装備すべきセメントについて

はじめに

 

このコンテンツでは、各種類のセメントの特徴を鑑みて、一般臨床において装備しておくべきセメントについて簡潔に示すことを目的としている。

 

確実に装備すべきセメントの種類

 

●グラスアイオノマーセメント(カプセル&粉液タイプ)

【根拠】
齲蝕抑制効果が期待できるため
歯質強化作用が期待できるため
歴史的なコンセンサスがあるため


GICの特徴や物性に関する情報はこちら

 

●CR系レジンセメント(カプセル&ペーストタイプ)

【根拠】
歯牙・補綴物と物性が近いので強力な接着及び補綴後の物性維持が可能と推測されるため
セラミックやCRインレー等の合着に必要不可欠であるため

●PMMA系レジンセメント

【根拠】
動揺歯の固定など靭性を求めることができるセメントであるため
また適切な使用を行えば、合着用としても使用が可能であるため(基本的には合着はCR系レジンセメントに分があるが、化学重合のみに依存しなければならないケースには有効)

 

カプセル&粉液タイプとした意味

 

基本的には、【ミキシングシステムに関するコンテンツ】でも示したとおり、カプセルを推奨したいが、多数歯に対する同時セット等のケースを鑑みた場合、やはり粉液タイプもしくはペーストタイプが必要になるケースもあるので、このように記載した。

 

レジン強化型グラスアイオノマーを除した意味

 

RMGICは非常に利便性の高い商品である。現在のセメント市場においても最も売れている商品と伝え聞いている。考えられる理由は・・・

●レジン成分(多くはHEMA)含有のため操作性が良い
●GICにはないペーストタイプの商品ラインナップ
●GICと比較して若干接着強さが高い

等が挙げられるが、「操作性の向上と脱離の減少」が最も大きな理由であろう。しかし、一方で忘れてはならないことがある。

GICの利点をある程度スポイルしてしまっている

ことである。それはすなわち、

●フッ素徐放性の低下
●歯質強化能の低下

である。
以上より、齲蝕抑制及び歯質強化を求める場合はグラスアイオノマーとし、合着能を求める場合にはCR系レジンセメントを使用することが適切であると考え、RMGICを除した。


RMGICに関する情報はこちら

 

最後に

 

以上の内容より、合計5種類のセメントが必要となる。

●GICカプセルタイプ
●GIC粉液タイプ
●CR系レジンセメントカプセルタイプ
●CR系レジンセメントペーストタイプ
●PMMA系レジンセメント

上記のレジンセメントにおいて、前処理不要のものを選択するメリット(歯科医師の手間の減少以外のメリット)については今後の研究結果を待ちたい。それゆえ、前処理不要のものを選択すべきであるとは言い切れない。ただし、前処理が必要なものに関しては確実に適切な前処理を行わなければならない。

レジンセメントの前処理材は、使用するレジンセメントと同メーカーのものに限る
を改めて肝に銘じてほしい。

一見、5種類のセメントを常備することは、無駄に見えるかもしれない。しかし、それらがもたらしてくれる福音は、満足いく臨床結果以上のものであることを忘れないでいただきたい。

 

 

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