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歯質の脱灰と再石灰化について

口腔内保湿・湿潤剤について

適切な使用を目指して・・・

小城賢一 北海道大学歯学研究科 第一保存教室

 

現在、様々な口腔内保湿・湿潤剤が市場に出回っている。それらは、形状や性質が大きく異なるため、症例をきちんと選別して使用することが望ましいと考えられる。

これらの製品を使用する必要がある患者として以下のケースが考えられる。

喫煙等による生活習慣に由来する口腔乾燥症例(口腔乾燥感)
・糖尿病や高血圧、またシェーグレン症候群などの全身疾患に由来する口腔乾燥症例
・全身疾患に対する投薬の副作用や酸素療法による医原性の口腔乾燥症例

さらにもう一点重要なことは「患者自身で管理を行えるのか?」ということである。基本的に、患者自身で口腔内の衛生管理(義歯洗浄等を含め)が行いえるケースにおいては、患者個人の趣向を考慮して一番効果が現れる保湿・湿潤剤を選択するべきである。

歯科医師は患者に対し、「液状のものを口渇を感じたときにスプレーする方がよいのか、ジェル状のもの使用するほうが快適なのか、また、味はどうか?」というについて、十分インタビューした上で、最適であると考えられるものを選択し、適切な使用方法について患者教育する必要がある。

 

要介護者における口腔乾燥

要介護状態の患者に対して口腔内保湿・湿潤剤を適応する上で注意するべきことを以下に示す。

・投薬変更である程度解決できる乾燥か?(保湿剤以外の解決方法はないのか?
・口渇を感じているだけなのか、それとも実際に口腔乾燥状態なのか?
 (水分補給が優先か、どの形状の保湿剤を使用するべきか?←基本的には内科Drとの協議不可欠)
・適切な口腔ケア管理は行いえるか?(口腔ケア管理が行えない状態での保湿剤適応はありえない)

上記をクリアーにした上で、保湿剤を選択する必要がある。

口腔乾燥があるからといって、安易に口腔内に対する対処だけで解決できると考えてはならない。皆さんご存知の通り、口腔乾燥は「何らかの全身的な問題」における一つの表現形態でしかない。ゆえに、口腔内をマッサージすれば解決できるとか、保湿・湿潤ジェルを使用すれば解決できるという問題でないことを肝に銘じるべきである。

 

要介護者ケアに用いる主な保湿・湿潤剤

私が、要介護者ケアに用いる口腔内保湿・湿潤剤を以下に示す。各保湿剤の大きさがわかるように、フロスと比較する。

私は基本的に、バイオティーンのオーラルバランスか東京技研のビバジェルエットを使用している。上左図の右下にあるのは、07年10月よりGCより発売となる新しい保湿剤(オーラルアクアジェル)である。このジェルはまだあまり臨床使用していないので具体的な言及は避ける。

さて、話は戻ってオーラルバランスとビバジェルエットの違いについて具体的に話を進めていく。
(液状タイプの保湿剤は誤嚥リスクが非常に高いため、私は使用していない)

 

オーラルバランスとビバジェルエットの違いとは?

はじめに申し上げておくが、どちらの方が性能が良いとか、そういう問題は存在しない。
なぜなら、それぞれが得意とするターゲット症状や環境が違うからである。それゆえ、臨床家が適切に状態・状況を判断し選択する必要がある。

そもそも、オーラルバランスは、開発者自身が全身疾患のため口腔乾燥がひどく、どうにかできないものかと研究を重ねて開発したとのこと。そのため、その成分配合はかなり微妙であり、類似商品は出回っているもののオーラルバランスと同等の性能を有するものは存在しない。

ここで重要なことは、オーラルバランスは「要介護高齢者等に対する口腔ケアグッズとして開発されたモノではない」ということである(具体的には、何らかの全身疾患により口腔乾燥感がある方に対するQOL向上商品である)。

あくまで、使用者自身で口腔内の衛生管理を十分に行えることが前提である。これは、オーラルバランス成分に水添デンプンが含まれていることをみても理解できる。水添デンプンは、口腔内に塗布し長時間放置すると乾燥し層状に固着する。オーラルバランスを要介護高齢者や有病者ケアに使用し、左記の点が問題視されるが、これは製品としての問題点ではなく、使用対象の問題である。ゆえに、上記の点を十分に理解してケアを行っている症例では特にそのような問題点は見当たらない。

これに対してビバ・ジェルエットは、開発コンセプトが全く異なり、「要介護・有病者の方に対する新しい口腔ケアコンセプト(鶴見大学 菅先生)」のベースとして開発された商品である。要するに、私達は日常的にシステマやフロス、歯間ブラシなどを使用するが、要介護・有病者のケアにおいてジェルエットは当たり前に使用されるべきものという位置づけである。

全ての要介護・有病者ケアに必要とは感じないが、口腔乾燥がある症例には全てジェルエットを使用している。その理由は以下の写真に示されている・・・

 

各保湿・湿潤剤の流れについて・・・

下に、3種類の保湿剤【左より、オーラルアクアジェル・オーラルバランス・ビバジェルエット】をペーパートレーに塗布(左図)し、その後模型用バイブレーターで水平角60度を保ち、10秒振盪させた状態を示す(右図)。

オーラルアクアジェルとオールバランスは全く流れていないが、ビバジェルエットはかなり流れている様子が見て取れる。この結果は、口腔内でのジェルの塗布しやすさや、乾燥した上皮剥離などへの浸透しやすさと関連し、また臨床現場で常に感じる使用感の良さの裏付けともいえる。薄く延ばすことができるため、ジェルを誤嚥させる心配もない。

また、もう一点非常に重要な選択項目として、価格という問題がある。口腔内保湿剤は多くの患者にとって、一度使用するとかなりの期間、もしくは終末まで使用し続けるケースが多い。

オーラルバランスとビバジェルエットは価格は同じものの、容量は前者42gに対し、後者は120gである。

成分比較(カタログより・・・)

オーラルバランスは

水添デンプン・ポリグリセリルメタクリレート・キシリトール・ヒドロキシエチルセルロース・ベータDグルコース・リゾチーム・アロエベラ・ラクトパーオキシダーゼ・ラクトフェリン・グルコースオキシダーゼ・チオシアン酸カリ

ビバジェルエットは

水・グリセリン・アルギン酸ナトリウム・ヒドロキシエチルセルロース・セチルピリジニウムクロリド・安息香酸ナトリウム・クエン酸・クエン酸ナトリウム

マウスアクアジェルは

ジグリセリン・精製水・刈るボシキメチルセルロースナトリウム・カラギーナン・クエン酸ナトリウム・香料・パラベン



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