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口腔外科学 >> 嚢胞

嚢胞各論

嚢胞各論

歯根嚢胞
歯髄死に続いて生じる炎症により、歯根膜腔に散在するマラッセの残存上皮やヘルトヴィッヒの上皮鞘の遺残が活性化されて嚢胞を形成したもの。嚢胞の発生部位によって根尖性、側方性、残存性(歯牙欠損部位)の3つに細分化される。20~30歳代の上顎切歯部に好発し、X線所見は特徴的な境界明瞭な単房性、類円形の透過像を示し、嚢胞壁は歯槽硬線と連続する。嚢胞壁は非角化性扁平上皮で、内容物にコレステリン結晶を含むことが多い。

歯周嚢胞
萌出時の歯冠周囲炎によって生じる嚢胞で、発生頻度は極めて稀である。歯根嚢胞と同様に、X線所見は単房性、類円形の透過像を示し、嚢胞壁は非角化性扁平上皮で、内容物にコレステリン結晶を含むことが多い。下顎智歯に発生した歯周嚢胞はHoflath嚢胞と呼ばれる。治療法方は、原因歯の抜歯と嚢胞摘出である。

含歯性嚢胞
退縮エナメル上皮由来の嚢胞で、嚢胞内に原因歯の歯冠を含んでいる。10~20歳代の下顎臼歯部に好発する。X線所見は、単房性あるいは多房性の透過像で、その中に歯冠を含む。嚢胞壁は薄い重層扁平上皮で、淡黄色の漿液性の内容物である。原因歯と一緒に嚢胞を摘出することが第一選択であるが、原因歯を咬合に参加させたい場合は、開窓して原因歯を萌出誘導する。

歯原性角化嚢胞
歯堤あるいはその残遺上皮に由来する嚢胞で、10~20歳代の男性の下顎大臼歯部に好発する。基底細胞母斑症候群では歯原性角化嚢胞が多発する。X線所見は単房性あるいは多房性のホタテ貝様の透過像を示す。嚢胞壁は錯角化重層扁平で、嚢胞内に角化物を認める。また、周囲に娘嚢胞が認められることが多く、再発しやすい。そのため、治療は嚢胞全摘出と周囲骨の削除である。嚢胞が大きい場合は顎骨の一部切除を行うこともある。

原始性嚢胞
歯原性嚢胞で、原因歯が存在しないもの。歯原性角化嚢胞と同義で使われることが多いが、実際は原始性嚢胞であることが多い。嚢胞壁の角化の有無は問わず、その他の組織学的所見や治療法に関しては、歯原性角化嚢胞と同じである。

石灰化歯原性嚢胞
歯原性上皮由来で、10~20歳代の上顎前歯部や小臼歯部に好発する。X線所見は、単房性の類円形で境界明瞭な透過像で、内部に大小の不透過様の構造物(石灰化物)を認める。病理組織学的には、上皮層内に幻影細胞(ghost cell)が認められることが特徴である。一般的には摘出手術であるが、腫瘍様の性格を有することがあり、周囲骨の削除も同時に行うことがある。

鼻口蓋管嚢胞
切歯管嚢胞とも呼ばれる。鼻口蓋管(切歯管)の上皮残遺に由来する嚢胞で、30~50歳代に好発し、男性に多い。X線所見は特徴的で、口蓋正中部に境界明瞭なハート型の透過像を示す。嚢胞壁は重層扁平上皮あるいは線毛円柱上皮と結合組織の二層構造を呈する。治療法は、摘出手術あるいは開窓術。

正中口蓋嚢胞
本態は鼻口蓋管嚢胞で、硬口蓋後方に拡張したものを指す。

正中歯槽嚢胞
本態は鼻口蓋管嚢胞で、上顎中切歯の歯槽骨に拡張したものを指す。まれに歯原性角化嚢胞の場合がある。

球状上顎嚢胞
上顎側切歯から犬歯の間の顎骨内に発生する嚢胞で、本態は歯原性角化嚢胞、歯根嚢胞、歯周嚢胞など多岐にわたる。

正中下顎嚢胞
下顎正中部に発生する嚢胞で、本態は歯原性角化嚢胞、歯根嚢胞、歯周嚢胞などであることが多い。

術後性上顎嚢胞
上顎洞根治術を受けて10~20年経過して発生する嚢胞である。成因は様々で、上顎洞根治術時に迷入した鼻粘膜上皮が孤立化して嚢胞を形成した、あるいは上顎洞根治術時に生活歯の根尖を損傷し、炎症反応によって歯根嚢胞が形成され上顎洞内に露出したなど、さまざまな説が考えられている。好発年齢は上顎洞根治術の既往がある40歳以降である。初期は無症状のことが多いが、進行すると他の嚢胞と異なり、鼻閉、眼症状、流涙、神経症状を呈する。嚢胞壁は線毛上皮や円柱上皮、立方上皮、重層扁平上皮など様々であるが、ほぼ共通して黄褐色からチョコレート色の粘稠性内容物を含んでいる。治療は嚢胞摘出手術と上顎洞根治術を同時に行う。

単純性骨嚢胞
上皮の裏層がない偽嚢胞で、外傷などによって骨髄内にできた血腫が器質化されずに嚢胞化したものと考えられている。若年者に多く、下顎骨体部に好発する。X線所見は、単房性の境界明瞭な円形あるいは楕円形の透過像を示し、臨床所見は他の嚢胞と変わらない。治療は開窓術である。

静止性骨空洞
下顎舌側に見られる皮質骨陥凹で嚢胞ではない。顎下腺による圧迫吸収によって生じる。治療の必要はない。

脈瘤性骨嚢胞
顎骨内部に形成された静脈瘤によってできた顎骨内の局所的な空洞。巨細胞を封入した結合組織で被覆されていることが多く、内容物は血液であるので、摘出手術や開窓術では大量出血を生じる。下顎に見られることが多い。X線所見は境界明瞭な泡沫状の透過像である。

粘液嚢胞
唾液腺の流出障害によって生じる嚢胞で、前舌腺(Blandin-Nuhn嚢胞)や舌下腺(ガマ腫)に好発する。嚢胞壁は上皮に覆われているもの(停滞型)と覆われていないもの(溢出型)の2種類があり、どちらも淡青色から淡黄色の粘稠性内容液を含む。ガマ腫は開窓し、その他の軟組織嚢胞は摘出する。粘液嚢胞は再発率が高い。

類表嚢胞
胎生期の外胚葉の迷入によって生じる先天性嚢胞。口底正中部に好発する。嚢胞壁は線維性結合組織の被膜と角化性重層扁平上皮からなり、皮膚の付属器官を含む。内容物はおから状で、病理組織学的には剥離上皮や脂肪、コレステリン結晶である。治療法は摘出手術である。

類表皮嚢胞
被覆上皮に皮膚の付属器官を含まないという点以外は類皮嚢胞と同じである。

鰓嚢胞
胎生期の鰓裂上皮に由来する先天性嚢胞で、20歳以下の若年者の側頚部(胸鎖乳突筋前縁)に好発する。嚢胞壁は、重層扁平上皮あるいは円柱上皮で、その直下にリンパ組織の増成を伴い、コレステリン結晶を含む乳白色の内容物が特徴的である。臨床症状はほとんどないが、深在性の鰓嚢胞は呼吸困難や嗄声を生じることがある。治療法は摘出手術であり、完全に除去されれば再発はない。まれに、被覆上皮より癌化するとの報告がある。

甲状舌管嚢胞
胎生期の甲状舌管上皮に由来する先天性嚢胞。発生部位は舌盲孔と甲状腺の間で、舌骨付近に見られることが多い。10歳以下の若年者に好発する。嚢胞壁を構成する上皮は様々で、部位によって異なる場合があるだけでなく、甲状腺組織や粘液腺、リンパ組織を含んでいることが多い。また、嚢胞と舌骨が癒着していることもあり、その場合は嚥下・咀嚼困難や開口障害などの臨床症状を呈する。治療法は摘出手術である。まれに、被覆上皮により癌化(腺癌、扁平上皮癌)するとの報告がある。

参考
最新口腔外科学 第4版
北海道大学歯学部口腔外科学教室講義プリント
ルービン カラー基本病理学 (西村書店)
北海道大学歯学部病理学実習書
口腔顔面疾患カラーアトラス (永末書店)

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