良性腫瘍について 【総論】

良性腫瘍の定義

 

 宿主固有の細胞から変化した異常な細胞が過剰増殖し、周囲組織に浸潤することなく膨張性に発育する細胞塊を指し、悪性腫瘍と異なり遠隔転移などは見られない。

 

良性腫瘍の臨床的特徴

 

 癌腫と異なり緩慢な膨張性発育をし、癌腫に見られるような疼痛や周囲組織の破壊は少ない。

 初期症状は無症状のものがほとんどで、顎骨中心性に発育する腫瘍では腫瘍の増大によって顎骨が無痛性に膨隆する。しかし、良性腫瘍が大きくなると、切除する組織の実質欠損が大きくなり、形態や機能の回復が困難になるだけでなく、良性腫瘍の中には悪性に転化したり、被膜が不明瞭なために再発しやすいものもあるので注意が必要である。

 臨床統計学的には、歯原性腫良性瘍と非歯原性良性腫瘍の割合は同程度で、歯原性腫瘍ではエナメル上皮腫、歯牙腫が、非歯原性腫瘍では乳頭腫や線維腫、血管腫などが多い。

 

良性腫瘍と悪性腫瘍の相違

  良性腫瘍 悪性腫瘍
成長速度
緩慢
速い
成長様式
膨張性
浸潤性
境界
明瞭(被膜の形成)
不明瞭
遠隔転移
なし
あり
全身状態への影響
少ない
あり
予後
良好
不良

良性腫瘍の治療と予後

 

● 治療法
基本的には摘出手術が適応であるが、良性腫瘍でも悪性化が疑われるような場合あるいは再発しやすいものは周囲組織を含めて腫瘍の摘出を行う場合がある。

 

● 予後
良性腫瘍の中には再発しやすいものもあるが、一般的に予後は良好である。悪性転化する割合も稀なものが多い。

 

「良性腫瘍の分類」へ→

参考
最新口腔外科学 第4版
北海道大学歯学部口腔外科学教室講義プリント
ルービン カラー基本病理学 (西村書店)
北海道大学歯学部病理学実習書
口腔顔面疾患カラーアトラス (永末書店)


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