白板症は臨床診断名で、WHO(1978年)では、摩擦によって除去できない白斑で、他の診断可能な疾患名に分類できないものと定義している。50歳以上の男性の舌や歯肉、頬粘膜に好発し、喫煙や慢性的な機械的刺激、刺激性食物の嗜好、真菌(カンジダ)などが原因として考えられているが詳細は不明である。臨床的には、口腔粘膜に無痛性の白色隆起で、形状や大きさは様々である。硬結を触れることは少ない。口腔カンジダ症と異なり、ガーゼなどで除去することができない。まれに糜爛や紅斑を伴うものも存在する。病理組織学的には、上皮層の肥厚と角化の亢進を特徴とし、上皮細胞に異型性などを認めることがある。上皮突起は伸長することが多いが、基底膜を越えた細胞増殖は認めない。臨床統計学的に、白板症の数%が癌化する可能性があるとされる。治療法は、まず刺激物を除去する。これにより消失傾向を示さない場合は、レーザー療法や切除などの外科的治療を行うことが一般的である。
紅板症は白板症と同様に臨床診断名であり、40%以上の高確率で癌化する前癌病変である。口腔顎顔面領域では、50歳以上の頬粘膜や舌、歯肉に好発する。性差は認められない。臨床的には、不定形の表面平滑な鮮赤色を呈するビロード状の紅斑で、紅斑周囲に偽膜様の白斑を伴うこともある。自発痛はないが、接触痛を有することが多い。硬結は触れない。病理組織学的には、非角化性上皮の非薄化と上皮内の強い細胞異型性あるいは細胞浸潤像を認める。すでに上皮内癌あるいは早期癌を呈していることが多い。治療法は一般的に癌腫に準じ切除術が適応である。
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