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キシリトール

キシリトール

分野名

公衆衛生

解説

≪概要≫
・炭素5個の糖アルコール
・多くの果物(プラム、キイチゴ、カリフラワなど)に存在
・哺乳動物は進化の過程でキシリトールを摂取
・ヒトの代謝系では、炭水化物の中間代謝産物として、キシリトールが生成
・工業的には、ヘミセルロース(木材や麦わら、トウモロコシの穂軸、サトウキビの搾りカスに大量に存在)を加水分解、さらに還元して製造
・ヘミセルロースは、フィンランドの企業が大規模に生産、日本へ供給


≪特徴≫
・甘味度→ショ糖とほぼ同等で良質な甘味(糖アルコールの中で一番甘い)
・5炭糖であるため、S.mutansをはじめとする酸産生菌に発酵されない
・無益回路により、S.mutansおよび他の酸産生菌の増殖が阻害させられること→歯垢の脆弱化
・水に溶解する時の吸熱反応により、冷涼感を覚える→ミント系のガムやキャンディーと相性が良い
・少ないインシュリン分泌刺激→糖尿病患者に使用すると代謝状態が安定
・腸管での吸収はショ糖より穏やか→最初のうち大量に摂取で、下痢
・カロリー→ショ糖よりやや低い程度(約60%)
・食品添加物以外の応用
→輸液療法(手術後、やけど、ショック状態の患者に対し)におけるエネルギー源として、昔から使用
→若年者の中耳感染の予防(北欧諸国、α-溶血性連鎖球菌の発育阻害作用)


≪歯科疾患抑制効果≫
(1)歯垢の脆弱化→除去が容易
(2)歯垢量の減少→う蝕原性が減少
(3)S.mutansの付着の減少→感染機会が減少
(4)S.mutans菌数の減少(3の結果として)
(5)アルカリ性のプラーク→アパタイト結晶の安定にとって有利
(6)歯垢中のカルシウム量の増加→再石灰化にとって有利
(7)再石灰化のための化学的条件が整う(5および6の結果)
(8)歯垢の起炎性が低下→歯肉炎および歯周炎の抑制効果


≪用途≫
(1)食品への応用(1996年に食品添加物として認可)
ガム、キャンディー、チョコ、クッキー、アイスクリーム、清涼飲料など
(2)フッ化物錠剤、キシリトール錠剤、グミへの応用
(3)歯磨剤、洗口剤への応用
(4)輸液療法、糖尿病患者の食事への応用(以前はこれらの応用のみ認可)
(5)スキンケア商品への応用
保湿剤として肌荒れ防止・改善、皮膚のバリアー機能の回復

≪口腔保健におけるキシリトールの基本的な考え方(1988年、フィンランド歯科医師会)≫
(1)代用甘味料として、う蝕誘発性を示す糖質すべてをキシリトールに置き換えるというものではない
(2)通常の食生活の中で、定期的にキシリトールを含む食品を摂取することにより、う蝕予防効果を得ようとするものである

≪キシリトール製品の推薦条件(1988年、フィンランド歯科医師会)≫
(1)キシリトールが、その製品に使用されている甘味料の50%以上であること
(2)キシリトール以外の甘味料として、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトールなどのような低酸産生能のものを使用していること
(3)酸蝕症発生の危険性があるクエン酸、酒石酸のような酸を含んではならない
(4)歯垢内pH電極による口腔内での酸産生試験を行い、非酸産生性が確認されること



【糖アルコール】
≪概要≫
・糖質系代替甘味料の一つ
・糖の分子に高圧の水素を添加することにより得られる、アルコール基(‐OH)をもつ糖のグループ

≪分類≫
(1)単糖アルコール
・エリスリトール
・キシリトール
・ソルビトール
・マンニトール

(2)二糖アルコール
・マルチトール
・ラクチトール
・パラチニット


≪糖アルコール系代替甘味料の共通性質≫
(1)甘味料→0.4 - 1.0(ショ糖を1.0とした場合)
(2)味質→マイルドな甘み、切れがよく後味が残らない
(3)口の中での冷涼感→溶解熱が
(4)低カロリー性→1.5 - 2.8kcal/g(ショ糖4.0kcal/g)
(5)緩下性→大量摂取で下痢を起こす(最初のうちだけ)
(6)歯垢内での酸産生の基質とならない
(7)不溶性グルカン形成の基質とならない
(8)エナメル結晶の再石灰化のためのCaキャリアー


≪非う蝕誘発性≫
(1)ヒトの歯垢中ではほとんど発酵されない
(2)有意な酸や不溶性グルカンが生成されない
(3)無益回路を形成→S.mutansおよび他の細菌を化学的に阻害
(4)唾液分泌の促進効果
(5)カルシウムとの複合体形成→唾液および歯垢中におけるリン酸カルシウム安定化効果
(6)唾液蛋白質の水和層との相互作用→蛋白質安定化効果


【代替甘味料】
≪望まれる性質≫
(医科)
・低カロリーであること→肥満を気にする人でも安心して摂取できる
・インシュリン分泌刺激性がない

(歯科)
・非う蝕誘発性または低う蝕誘発性であること
・できれば抗う蝕誘発性であること

≪所要条件≫
(1)砂糖と同じような甘味であること
(2)砂糖と同じような加工性をもつこと
(3)S.mutansの不溶性グルカン合成の基質にならない、あるいは不溶性グルカン合成を阻害すること
(4)口腔内細菌による酸生成基質にならない、あるいは酸生成を阻害すること
(5)安価であること

≪分類≫
(1)糖質系代替甘味料(カロリーあり)
(2)非糖質系代替甘味料(カロリーほとんどなし)


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