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11 渡辺 聡先生:根管治療、Er:YAGレーザー、LAI

 11 渡辺 聡先生:根管治療、Er:YAGレーザー、LAI

■ 経歴等


出身大学:
北海道大学歯学部(2005年卒業)


出身大学院:
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯髄生物学分野(歯学博士)



■ 現在の肩書:


東京医科歯科大学医歯学総合研究科 歯髄生物学分野 助教
東京医科歯科大学医歯学総合研究科 歯髄生物学分野 医局長
東京医科歯科大学歯学部附属病院 先端歯科診療センター 外来医長

日本歯内療法学会 専門医
日本レーザー歯学会 専門医
日本歯科保存学会 認定医



■ 研究キーワード


根管治療、Er:YAGレーザー、LAI



■ 研究に関する概要


私は臨床系の研究分野ということもあり、日々の臨床でぶつかる壁や疑問を研究に生かし、その研究を日々の臨床のために生かしていくことを念頭に置いています。

根管治療でぶつかる壁として、イスムスや狭窄根管、側枝、根尖孔外の感染等の根管形態の複雑性による要因やレッジや穿孔、破折ファイル等の医原的要因が挙げられ、それぞれが複雑に絡む場合もあり、感染源まで器具が届かず、根管洗浄も十分に奏功しない状態では、最終的に抜歯を選択せざるを得ないこともあります。

近年、新たな根管洗浄法としてレーザーを応用して光子誘導励起光音響流を生じさせるLAI(Laser-Activated Irrigation)という清掃法が考案され、これは根管洗浄液中でEr:YAGレーザー等の照射を行うことで、液体の微小爆発により発生した蒸気泡の膨張・収縮・減圧が生じることで二次的キャビテーションや衝撃波・高速水流が生じ、複雑に根管系深部の根管洗浄液を活性化させるとされています。

我々も本法に着目し、基礎挙動や安全性の解析を重ねる中で、従来不可能であったチップから離れた位置での清掃効果が評価され(第14回World Federation for Laser Dentistry, Paris, France, 2014 最優秀研究賞受賞)、臨床導入されつつあります。

しかしながら、離れた位置まで水流影響が及ぶということは利点であるとともに、水流のコントロールが難しいという欠点でもあり、その複雑な高速対流挙動の把握は至適照射条件、手技に重要であるものの、ほとんど解明されずに臨床応用され始めているのが現状です。

我々はまずLAIのリスク要因である水流の根尖孔外に生じる圧力を解析した上で、LAIの利点を最大限に活用できる照射部から離れた位置で複雑な根管構造部へ効果的な水流が生じる要因解析を行い、清掃効果とともにその蒸気法の挙動や水流勾配の微粒子流体解析をもとに、最も高い清掃効果を備え、かつ安全である条件を解明すべく研究を行ってきました。

今後はこれらの解析をさらに続けながら臨床治験の準備をしており、より効果的で安全なLAIの臨床応用の実現に努め、1本でも多くの歯を保存できるように、壁の瓦解の一助となれば幸いと考えています。



■ 臨床家の先生方にお伝えしたいこと


歯科は免許を取得し、ひと通り診療ができるようになって終わり、というものではなく、一生勉強し続ける職業です。

大学の利点のひとつは、一生ものの武器を作れる事です。専門性の高い技術とともに背景・疫学知識を集中的に学べる事は診療への自信、深みや幅を広げることにつながり、武器を持つことで、どこで勤務しても重宝され、開業後も差別化をはかれます。 

また「歯科医師のやりがい」を考えた時、突き詰めると2つになると考えています。
患者さんと治癒の喜びを分かち合う事
次代に研究してきた内容を残す事
です。大学はそのどちらも達成可能な場という意味で非常にやりがいのある職場と考えています。

現在、私は大学病院内の各外来の専門医達が協力して総合的かつ先進的な治療を行う先端歯科診療センターという診療室で外来医長をしており、私費中心に治療を行っています。
抜歯を言い渡すのは簡単で、予後の見通しの不明瞭な歯と対峙することは大変ですが、そこを避けては根管治療の技術向上はありません。1本の歯の保存にこだわるほど、上達と研究の余地はまだまだあると思い知らされ、奥が深く難しいからこそ面白い、と日々実感しながら臨床と研究を行っています。

若手の先生を中心に何かお役に立てることがあれば、遠慮なくご相談頂けたら幸いです。



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2020年07月01日

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