OralStudio オーラルスタジオ

臨床活用:加藤 大明先生

臨床活用:加藤 大明先生

【診療室におけるフッ化物バーニッシュの利用
メンテの最後に塗るフッ化物ゲルの代わりとして】

北欧歯科 加藤 大明



■ 診療所によるフッ化物応用


リン酸酸性フッ化ナトリウム(以下APF)などのフッ化物ゲルをメインテナンスの最後に口腔内全体に塗布する、多くの診療室でよく目にするフッ化物の局所応用です。欧米では同様にう蝕の一次予防を目的として、フッ化物バーニッシュが利用されています。



■ フッ化物バーニッシュのエビデンス


その効果については十分な厚みのエビデンスがあり、例えば、コクランレビューにおいては永久歯ではDMFSの予防(減少)効果は43%、乳歯ではdmfsの予防(減少)効果は33%があることが示されています※1。

実際、ADA(アメリカ歯科医師会)ではシステマティックレビューの結果、う蝕リスクの高い6歳未満に対してはフッ化物バーニッシュのみ、その使用を推奨しています(6歳以上ではフッ化物バーニッシュに加えて、フッ化物ゲルや5,000ppmのフッ化物配合歯磨剤などを推奨)※2。日本口腔衛生学会の政策声明においても、その積極的な利用を提言していています※3。


クリンプロホワイトバーニッシュF


■ 非侵襲的治療への活用


しかも!フッ化物バーニッシュの用途は一次予防だけではありません。欠損を生じていない平滑面のう蝕(ホワイトスポットを含む)に対する非侵襲的治療についても、フッ化物バーニッシュがもっとも効果的にう蝕の進行を停止する効果があることがわかっています※4。
さらには、欠損を生じているう蝕に対する非侵襲的治療についても、そのポジティブな効果は明らかになっており※5、※6 、愛知県で開業されている戸田慎吾先生(稲沢市さくらぎ歯科)は、欠損の生じている乳歯のう蝕に対し系統的に臨床応用されています。



■ フッ化物バーニッシュは臨床にマッチする


う蝕ハイリスク者の口腔内には健全歯面も、う蝕歯面も、状況によっては欠損が生じているう蝕歯面も混在しています。であるがゆえに、これら全てに対し有効であるフッ化物バーニッシュを、APFなどのフッ化物ゲルの代わりに、メインテナンスの最後に塗布するはの理にかなっています(図1、2)。


症例

■ クリンプロ™ ホワイトバーニッシュ F は…


クリンプロ™ ホワイトバーニッシュ Fは米国でもっとも売れているフッ化物バーニッシュで、味も3種類あり子供たちにも好評です(特にメロンが人気です)。フッ化物ゲルと同様に、術前の乾燥や術後の水洗も不要で使いやすいです。塗布後は患者さんの言葉を借りると「塗ってすぐはネバネバ、だんだんパリパリ」といった性状ですが、特に不快感を訴える方はいません。

尚、本製品を含むフッ化物バーニッシュ製剤は知覚過敏処置剤として承認されていますが、歯科医師の裁量でう蝕予防を目的として利用することが可能です。



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■ 参考文献


※1. Marinho VCC, Worthington HV, et al. Fluoride varnishes for preventing dental caries in children and adolescents. Cochrane Database of Systematic Reviews 2013, Issue 7.
※2. Robert J. Weyant, Sharon L. Tracy, et al. Topical fluoride for caries prevention: Executive summary of the updated clinical recommendations and supporting systematic review. JADA 2013;144(11):1279-1291
※3. 政策声明 う蝕のない社会の実現に向けて 2013年5月16日日本口腔衛生学会
※4. O. Urquhart, M.P. Tampi, et al. Nonrestorative Treatments for Caries: Systematic Review and Network Meta-analysis. Journal of Dental Research 2019, Vol. 98(1) 14–26
※5. Ruth M Santamaría, N P T Innes, et al. Caries Management Options for Primary Molars: 2.5-Year Outcomes of a Randomised Clinical Trial. Caries Res 2018 Jan;51(6):605-614.
※6. D Duangthip, C H Chu, et al. A Randomized Clinical Trial on Arresting Dentine Caries in Preschool Children by Topical fluorides--18 Month Results. J Dent 2016 Jan;44:57-63.

2020年07月29日

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